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竪琴と神話

この記事は、以前のホームページの4枚目です。

<キノール=竪琴>​ 
キノールという名前は、ヘブライ語で竪琴という意味だそうです。
後述しますが、ダビデがイスラエルの王サウルの前で弾いた楽器です。 
王サウルのこころの病を癒したのが、この竪琴だったということです。
イスラエル国最大のガラリア湖(淡水)は、
人々の飲料水として大切にされていたようです。
上から見ると、竪琴に似ていることから、
ヘブライ語でいう竪琴、「キノール」から由来して
「キネレット湖」と呼ばれるようです。
竪琴は、国の代表する楽器であり、
イスラエルのコインには、このキノールが刻印されています。​​

実は竪琴は、中世からのキリスト教では、
ハープやシトール、プサルテリオンに代ります。
ライアーは異教徒の楽器として扱われてきているからです。
そのため、昔のキリスト教の宗教画や彫刻には
竪琴ライアーの姿はなく、
中世音楽の中にライアーは入っていないのだそうです。
その代りにプサルテリオンやハープを
天使や動物が弾いているのを目にします。

<オルフェウスの竪琴>
オルフェウスの竪琴は、アポロンより譲り受けたものです。
日本ではイザナギとイザナミの話に相当するかもしれません。
音楽の女神の1人カリオペを母に持つオルフェウスは、
歌を歌い、 竪琴を巧みに弾く吟遊詩人となります。
そして森の精エウリディーチェを妻にします。
彼の竪琴は、人や動物も、ありとあらゆ る自然の怒りも鎮めました。 
しかし妻エウリディーチェは、毒蛇にかまれ、早く死んでしまいます。​
彼は、黄泉の国に妻を 迎えに行き再会し、
この世に連れ戻そうとします。
オルフェウスと黄泉の国の神との約束は、
後ろからついて来ている妻を決して振り返らない
という事だったのですが、
オルフェウスは振り返ってしまうのですね。
そのため、エウリディーチェは、再び黄泉の国に引き戻されてしまう、
という話です。
これは本当に悲劇。

 <アポロンの竪琴> ​
さてキリスト教よりもずっと昔のギリシャ神話に話を移します。
アポロンは、オリンポスの12神のひとり、
ゼウスとレトの間に生まれました。
彼は、予言、医学、音楽(竪琴弾き)、弓矢、数学などに長け、
非常に知的で美男子な神だったと神話にあります。 
彼の竪琴はヘルメスが亀の甲羅から作ったもので、
アポロンに贈りました。
このふたりの出会いは、興味深いものです。
ヘルメスがアポロンの飼っていた牛を盗んだ事から始まります。
アポロンは、予言者でもあったので、
すぐに犯人を見つけ出し、ひどく怒ります。​
しかしヘルメスが、亀の竪琴を奏でると、
アポロンはすっかり上機嫌になり、許してしまいます。
なんていい人なのでしょう。。
そして彼はヘルメスから牛を返してもらい、
一緒に竪琴を譲り受けます。
彼は、ヘルメスに竪琴のお礼として、自分の大切な杖を贈り、
お互いに友好の絆を約束します。​
ちなみにこの杖は、医学のシンボルとなっています。
この物語は、ヘルメス讃歌より引用しました。

現在のパリ・オペラ座の屋根の上の真ん中に立っている像、
ご存じですか?
このページのアイキャッチの絵です。
実は私もここ数年に知ったことなのですが、
向かって左側(南向き)にはタンバリンを持った音楽家(調和)、
右側には詩人(創造と訳してもいい?。。)が座り、
真ん中にオペラ座の正面から向かって立っているのがアポロン。
アポロンは、下にいる私たちを見つめ、
両腕を上げ、金の竪琴を天に掲げて立っています。
またオペラ座のシンボルは竪琴です。 ​​
作者はエメ・ミレという人のようです。
白人の魂は、ギリシャに帰依するということは時々耳にします。

<ダビデの竪琴>
私はソルボンヌ大学に移る前に、実はナント大学に通っていました。
絶対に忘れられない初日の一番の授業は、ダビデの竪琴の物語でした。
ヨーロッパにおける音楽療法実施の大切な起源のひとつとして
考えられているのだと思います。

ダビデDavidは、ユダのベツレヘムで8人兄弟の末っ子に生まれました。
大きくなると羊飼いとなり、獰猛な動物を鎮め、 羊を守りました。 
その頃、イスラエルの王サウルSaulのこころの病は
日に日に重くなり苦しんでいました。
サウルは、 ダビデが勇敢さと巧みな竪琴を奏でられることを知り、
彼の音楽に心の癒しを求めました。
​のちにダビデは、サウルが亡くなった後、
イスラエルの王となっていきます。
これは、旧約聖書を参考にしました。​​

<バロック時代>
先ほどのオルフェオの題材は、17、18世紀になっても
取り扱われてきました。
G.Caccini(カッチーニ)のオペラ「エウリディーチェ」は
1600年に作曲されて一番古いのですが、
すぐ後に作曲された J.Peri(ペーリ)の「エウリディーチェ」が
先に世に出てしまい、
これが現存する最古のオペラとしてあつかわれます。​
この物語では、ふたりは仲良くこの世に戻るという
ハッピーエンドとなっています。
めでたし、めでたし。

そして18世紀には、グルックが
甘美な旋律と情感があふれたハーモニーの3幕オペラを作曲しました。
有名なアリアがあります。
この旋律はライアーで弾いても合うと思います。

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